過失割合と過失相殺


人身障害事故の過失には、以下の3通りがあります。

①自分の一方的な過失で発生するもの
②自分と相手、両方の過失で発生するもの
③相手の一方的過失で発生するもの

交通事故以外の過失については、自分の一方的な過失で発生する事案(①)は少なく、②若しくは③の事案であることが多いです。

 

過失割合

②の事案の場合、過失割合が問題となります。例えば、自分と相手の過失が「1対9」とか「2対8」といった形で争いとなります。

 

過失相殺

このように、お互いに過失がある事故の場合、自分の損害の100%を相手に請求することができません。
例えば、相手と自分の過失割合が「過失割合が6対4」の事案で、自分の損害が4000万円で確定したとします。

この場合、相手に請求できるのは、2400万円ということになります。
4000万円☓(1−0.4)=2400万円

このように、自分の過失の分(40%)を控除して相殺することを過失相殺といいます。

 

不法行為と債務不履行の過失相殺の差異

過失相殺は、その損害が不法行為によって生じた場合でも、債務不履行によって生じた場合でも考慮されます(民法418条、同722条2項)。

ただし、両者では、過失相殺の規定の表現が違っていて、債務不履行では、責任そのものを免責することができ、過失があれば必ず考慮するという点で、理屈上は不法行為の方が過失相殺の範囲が狭く、加害者の責任が重いといえます。

しかし、裁判実務では、公平の見地から妥当な額を賠償させるという過失相殺の趣旨に則し、弾力的に活用されているので、差異はないといえます。

 

被害者の過失の内容

被害者側の過失の内容は、不注意で損害の発生を助長したというレベルで足り、加害者の不法行為の成立要件である注意義務違反のように厳格ではありません。
また、被害者の責任能力も、加害者に要求される程度(注)より低く、損害の発生を避けるのに必要な注意をする能力があれば足りると考えられています。

注:民事上の責任能力は、自己の行為の是非がわかり、かつ、それにしたがって行動できる能力のことをいい、通常は12〜13歳で備わると考えられていますが、被害者の場合、例えば、交通事故において、8歳の男児に責任能力が認められた例もあります。

さらに、被害者本人の過失だけでなく、広く被害者サイドの過失も含まれます。

この被害者側の過失とは、被害者と身分上ないし生活関係上一体をなしているとみられるような関係にある者の過失をいいます。

例えば、被害者である幼児の父母などです。

裁判例には、夫運転の自動車に同乗中、交通事故に遭った妻の損害について、夫の過失で妻側の過失相殺が認められた例もあります。

他方、幼稚園の散歩で、幼児が交通事故に遭って被害を被った場合、幼児を引率していた保母の過失が問題となった事案では、被害者の過失にあたらないと判断されました。

 

過失相殺のポイント

交通事故の過失相殺の割合については、車対車、車対人、自己発生場所などの事故の態様によって整理し、ある程度類型化された過失相殺の基準が図表化されています。

しかし、その他の人身障害事故については、過失の割合を認定する客観的な基準がなく、事例ごとに個別に判断せざるを得ません。

過失割合が被害者に不利に認められてしまうと、賠償金が大幅に減額されることになります。

したがって、人身障害事故の被害者の方が、適正な賠償を受けるためには、過失割合を適切に裁判所に認定してもらうことが重要となります。

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また、交通事故の場合の過失相殺についてはこちらをご覧ください。

 

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