個人事業主・会社役員の後遺障害による逸失利益はどのように算定方法するのですか?



基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
= 後遺症による逸失利益

により算定します。

 

逸失利益とは

交通事故による後遺障害が原因で、本来得ることができた利益が得られなかった場合、その得られなかった利益を後遺障害による逸失利益といいます。
算定にあたっては、労働能力の低下の程度、収入の変化、将来の昇進・転職・失業等の不利益の可能性、日常生活上の不便等を考慮して行います。

 

個人事業主・会社役員の基礎収入

 

(1)事業所得者の基礎収入

計算のイメージ画像①原則として、事故前年の確定申告所得額が基礎となります。
節税にためなど実際に申告した所得額と実収入に差がある場合は、実収入を立証することが必要です。立証は、帳簿等の直接の証拠が必要となり、厳格な立証が求められています。
②家族経営の場合は、所得に対する本人の寄与の割合によって算定されることになります
(最判S43.8.2)。
③確定申告を全くしていない場合や実際の収入が平均賃金以下である場合、平均賃金が得られる蓋然性が認められれば、賃金センサスの平均賃金などを参考に基礎収入額を定める例が多いです。

 

(2)会社役員の基礎収入

会社役員は、労務提供の対価部分は認められますが、利益配当の実質を持つ部分は、基礎収入とは認められません(大阪地判H4.9.21)。

 

 

労働能力喪失率

労働能力喪失率ですが、後遺障害で認定される等級により異なります。
基本的には、国が定めた下記の労働能力喪失率表に基づいて算定されます。

労働能力喪失率表

第1級 第2級 第3級 第4級 第5級 第6級 第7級
100% 100% 100% 92% 79% 67% 56%
第8級 第9級 第10級 第11級 第12級 第13級 第14級
45% 35% 27% 20% 14% 9% 5%


 

 

労働能力喪失期間

(1)始期:症状固定日の年齢
(2)終期:原則として就労可能年数 67歳まで
障害の内容、部位、年齢、職業、地位、健康状態などによって異なる期間で算定されることがあります。

 

 

ライプニッツ係数

ライプニッツ係数を乗じるのは、中間利息を控除するためです。

 

 

個人事業主・会社役員の逸失利益の計算例

 

(計算例)37歳の自営業者が交通事故で後遺障害が残り、第8級7号に認定された場合

年齢 37歳自営業
後遺障害 第8級7号
基礎収入 前年の確定申告額 1500万円
労働能力喪失率 45%
就業可能年数 67歳-37歳=30年
ライプニッツ係数 15.372

以上より
1500万円×0.45×15.372≒1億300万円

が逸失利益になります。

 

なお、後遺障害等級8級の自賠責保険金の上限は819万円です。

自賠責保険からの支払い後の残金は、加害者の任意保険や自己負担となります。

このように、基礎収入や労働能力喪失率、労働能力喪失期間の算定には複雑な問題が多く含まれています。専門家である弁護士に相談することをお勧めします。

 

 

 

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