年少者が死亡した場合の逸失利益はどのように算定方法するのですか?



将来の職業や収入額、稼働可能年数が明確ではない幼児・年少者は、賃金センサスを参考にし交通事故の逸失利益を算定します。

交通事故の死亡による逸失利益の算定式は、以下の式を使います。

基礎収入額 ×(1-生活費控除率)×(死亡時から67歳までのライプニッツ係数-18歳未満の者に適用するライプニッツ係数)= 死亡による逸失利益

 

基礎収入額

子供のイメージ画像幼児・年少者は、逸失利益を算定する基礎となる収入がありません。

したがって、逸失利益を算定は本来不可能となります。

しかし、最高裁は、「事故により死亡した幼児の得べかりし利益を算定するに際しては、裁判所は。諸種の統計表その他の証拠資料に基づき、経験則と良識を活用して、できるだけ客観性のある額を算定すべきであり、一概に算定不可能として得べかりし利益の喪失による損害賠償請求を否定することは許されない」と判じしました(最判S39.6.24)。

幼児・年少者の基礎収入額に関する資料は賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、男女別の全年齢平均賃金額を用いられることが多いです。

男女別の平均を用いるのは、男子と女子の賃金格差を是正するためです。

ちなみに、大学生になっていない場合でも、大卒の賃金センサスを基礎収入として認められる場合があります。

大学進学の蓋然性のある高校生の場合に認められています(東京高判H15.2.13、名古屋地判H15.4.28、京都地判H23.3.11など)。

事故時14歳の女子、15歳の女子(中学生)の場合は、男女別の全年齢平均賃金額を基礎収入としており、小学生、中学生くらいでは、大卒の賃金センサスでの基礎収入を認められるのは難しいようです。

 

生活費控除率

計算のイメージ画像交通事故被害者が不幸にも死亡してしまった場合、生活費は発生しなくなります。

逸失利益の算定にあたっては、生活費分を控除します。

男子(独身・幼児等を含む) 50%
女性(主婦・独身・幼児等を含む) 30%

ですが、男女差のバランスとるため、0.45%の生活費控除率を使う場合があります。

 

就労可能年数

就労可能年数は49年です。

 

就労可能年数に対応するライプニッツ係数

中間利息を控除するため、ライプニッツ係数を乗じます。

ライプニッツ係数は、赤い本の「18歳未満の者に適用する表」の計算式を使用します。

 

12歳の女子が交通事故で死亡した場合の逸失利益の計算例

横断歩道のイメージ画像・基礎収入:全労働者の平均賃金479万6800円
・生活費控除率:45%(男女差のバランスとるため)
・就業可能年数:67歳-12歳=50年
・18歳未満の者に適用する表より ライプニッツ係数は18.6335-5.0757=13.5578

以上より、479万6800円×(1-0.45)×13.5578≒約3576万8730円が、12歳の女子年少者の逸失利益になります。

このように、死亡事故による逸失利益の算定は複雑な計算となるので専門家である弁護士に相談することをお勧めします。

 

 

「逸失利益」についてよくある相談Q&A


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