私の車が盗まれ、人身事故が起きました。私にも事故の責任はあるのですか?



監視カメラ車両が盗難に遭い盗まれた車が起こした人身事故について、車両の保有者は損害賠償責任を原則負いません。

なぜなら、事故を起こした泥棒運転手が事故の責任を負うのが当然だからです。
しかし、車両を盗まれたことに保有者に落ち度がある場合、保有者も事故の責任を負うことになります。

 

保有者とは

 

保有者とは「自動車の所有者その他自動車を使用する権利を有する者で、自己のために自動車を運行の用に供するものをいう」(自賠責法2条3項)。
したがって車両の所有者、車を借りた人、タクシー会社、運転代行業は保有者となり、運行供用責任者となります。
一方、泥棒運転は運行利益、運行支配は泥棒運転手に帰属しますが、車の所有借り受けたという正当な権利に基づく運行利益、運行支配が帰属ではないので、保有者にはなりません。

 

 

保有者が損害賠償責任を負わない理由

 

車両の保有者は、泥棒運転手の運行供用者(自賠責法3条)ではありません。
だから賠償責任を負いません。
最判S48.12.20は、エンジンキーをつけたままドアにカギを閉めないで車庫に保管中のタクシーが盗まれ、泥棒が運転中に事故を起こした事故で、最高裁判所は、盗難されたタクシーは泥棒運転手が運行を支配していたもので、車両の所有者であるタクシー会社は運行を指示制御できる立場になく、運行の利益もなかったとして、タクシー会社の運行共用責任を認めませんでした。

 

損害賠償責任を負う例外

 

車両の管理・保管状況がずさんである場合

車両の管理・保管状況がずさんである場合、車両の所有者は事故の責任を負うことがあります。例えば、路上や空き地にエンジンキーを差し込んだまま、ドアを施錠しないで車両を放置する状況です。
例えば、

(1)運転手がエンジンキーをつけたまま制動装置もしないまま、車から離れたところ運転手は関係のない人夫が自動車を運転し事故を起こした例では、運転手の運行供用責任を認めました(大阪地判S35.8.9)

(2)会社の従業員が、会社所有の車両を道路上でエンジンキーをつけたまま半ドアの状態で駐車したところ、盗難に遭った直後事故を起こした例では、会社の運行供用責任を認めました(最判S57.4.2)。

(3)保管に落ち度が認められた裁判例
車両の保有者が海外に行く際に、車両のカギを知人に預けていたところ、車両が盗難に遭い、人身事故発生した例では、保有者の運行供用責任を認めました(東京地判H20.2.4)。

交通事故でお悩みの方は、専門家である弁護士へのご相談をお勧めします。

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