弁護士コラム

高速道路での追突事故における過失相殺−東名高速死亡事故より


解説図平成29年の6月に東名高速道路上で、夫婦と娘2人が乗っていた自動車に後続車が追突し、夫婦2人が死亡した交通事故に関して、今月(平成29年10月)に入って、追い越し車線でこの自動車が停止していたのは、別の車に乗車していた男性が進行方向を遮ってたからであるとして、この男性を自動車運転過失致死傷罪の容疑で逮捕しました。

報道報道によれば、逮捕された男性は、事故現場から1キロメートルほど手前のパーキングエリアでタバコを吸っていたところを、夫婦に「邪魔だ」と指摘されたことが原因で、追走してあおり運転をしていたとのことです。

また、後続車が衝突したときには、車外に夫婦が出ていたと言われており、これが事実であれば、男性があおり運転を行った上で、進路を塞いで車を停車させ、車外に出てくるように強要した可能性があります。

高速道路上で車外に出てしまうことは極めて危険なので、普段は絶対に控えなければなりません。

弁護士ところで、一般道での追突事故の場合には、急ブレーキといった事情がない限り、追突をした後続車の過失が10で、追突された車の過失は0と考えられています。

他方で、高速道路では、最低速度を維持する義務があり、故障などの例外を除き、原則として駐停車が禁止されています(道路交通法75条の8第1項)。

したがって、高速道路上での追突事故の場合には、追突された車にも一定の過失があるのが通常です。

別冊判例タイムズこの点、過失相殺を決定する目安となっている『別冊判例タイムズ民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準』(全訂5版)では、
原則として、追突した車:追突された車=6:4の過失割合としています。

今回の交通事故のように追い越し車線で停止していた場合には、
過失の修正がなされ、追突した車:追突された車=5:5となります。

しかしながら、本件で死亡した夫婦が運転していた自動車を停止せざるを得なかったのは、逮捕された男性が進路を塞いだためであって、こうした場合にも上記の過失割合が適用されることになるのは不当な結論だといえるでしょう。

レースそこで、今後の賠償については、逮捕された男性の一連の行為と追突した車の追突行為という2つの原因が合わさって、今回の交通事故が生じたという考えにより解決していくことになると思われます。こうした法律関係を共同不法行為といいます。

逮捕夫婦の賠償問題については、逮捕された男性も追突した車の運転者もともに全額の賠償をしなければならず、この賠償に対する分担割合について、逮捕された男性と追突した車の運転者とで決定するという考え方になります。

いずれにしても、今回の交通事故では、逮捕された男性の捜査が進んで真相が明らかにならない限り、亡くなった夫婦の賠償問題は解決しない可能性が高いといえそうです。

デイライト法律事務所での共同不法行為に関する解決事例はこちらをご覧ください。

 

 

 

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