よくある相談Q&A

交通事故に遭い、軽度外傷性脳損傷(MTBI)と診断されました。MTBIとは何ですか?



弁護士鈴木啓太MTBIとは、頭部外傷の所見に乏しく、意識障害も皆無か、あるいは、ほとんどないケースであるものの、注意・集中力の低下といった症状や、頭痛、めまいなどの症状が発症するものです。

 

軽度外傷性脳損傷(MTBI)とは

MTBIとは、Mild Traumatic Brain Injuryの略称です。軽度とありますが、受傷時の意識障害の程度やその持続期間が軽度であったという意味合いで、その後の症状が軽度という意味合いではありません。

MTBIの症状としては、注意・集中力の低下、課題遂行力の低下、記憶障害といった症状と、頭痛、めまい、疲労感、易刺激性、 不安、不眠といったい症状が現れます。

高次脳機能障害に認定されるには、原則として、頭部外傷(びまん性軸索損傷やくも膜下出血など)の所見があり、さらに、意識障害が一定期間継続していることが前提となります。

MTBIの場合には、明確な画像所見もなく、また、意識障害はないか、あるいは、ほとんどないことから、上記の高次脳機能障害の条件には当てはまりません。

しかし、厚生労働省において、画像所見が認められない症例であって、受傷時に意識障害が軽度である場合にも高次脳機能障害を残す可能性について考慮する必要があるとの通達が出されています。

また、裁判例にも、意識障害がなく頭部外傷の画像所見も乏しい事案で高次脳機能障害を認めた裁判例がある(東京高裁平成22年9月9日判決、大阪高裁平成28年3月24日)ので、その判断については慎重にならなければなりません。

東京高裁平成22年9月9日判決では、以下のような判断がされています。(被害者をXとしています。)

判例 東京高裁平成22年9月9日判決

  1. 本件事故直後には強い意識障害はなかったこと
  2. また、XにはCT検査やMRI検査の画像所見において異常所見が認められなかったこと
  3. さらには、X車の同乗者には後遺障害が生じていなかったこと

上記のような事情があったとしても、軽度外傷性脳損傷においては事故後すぐに症状が現れるとは限らず遅発性に現れることもあり、また、軽度外傷性脳損傷の場合には必ず画像所見に異常が見られるということでもないというのであるから、上記1~3の事実をもって本件事故により脳幹部に損傷を来した(脳細胞の軸索が損傷した)事実を否定することはできないものというべきである。


以上のように判断して、被害者に高次脳機能障害が発症していることを認めました。

さらに、自賠責保険における高次脳機能障害認定システム検討委員会によると平成30年5月31日の報告書)、頭部外傷の画像所見がない場合でも、中程度以上の意識障害があり、頭部外傷後に症状が発現し、軽快しつつも症状が残存し、神経心理学的検査等に異常所見が認められる場合には、脳外傷による高次脳機能障害と判断されることがあると言及しています。

以上のように、軽度外傷性脳損傷(MTBI)においても、高次脳機能障害の発症が認められ、後遺障害として認定されることもあります。

しかし、裁判例の多数は、高次脳機能障害の認定にあたり、頭部外傷の画像所見と一定の意識障害の持続を要求しており、上記の裁判例は極めて少数派の判決と言わざるをおえないのが現状です。

 

 


『後遺障害』についてよくある相談Q&A一覧


賠償金無料算定サービス
実績豊富な弁護士が丁寧にお話を伺い、あなたにとって最善の解決へサポートします。


ご相談についてはこちらから


なぜ交通事故は弁護士に依頼すべきなのか?

お問い合わせ Web予約