よくある相談Q&A

休車損害とは何でしょうか?



執筆者:弁護士鈴木啓太

弁護士鈴木啓太休車損害とは、交通事故により損傷した自動車(以下、「事故車」といいます)を修理し、また買い替えるために相当な期間、事故車を運行できなくなったことにより本来得ることのできた利益の減少を損害とするものです。

休車損害について、以下で詳しく解説いたします。

 

休車損害の対象車両

緑ナンバー休車損害は、基本的には、トラック、バス、タクシーなどがつけている営業車両(緑ナンバー)が対象です。

緑ナンバーは運送業許可を受けている業者が使うナンバーで、レンタカーは存在しません。

休車損害の成立要件

ポイント事故車を使用できないからといってもただちに休車損害が発生するわけではありません。

休車損害を請求するには、交通事故により休車したことで損害が生じたことを具体的に立証しなければなりません。

以下の事項を立証できれば休車損害を請求できる可能性が高くなります。

  1. 事故日以降も事故車を使用する業務があること
  2. 保有車両の中に遊休車や予備車として代替に適した車両が存在しなかったこと
    遊休車とは、車検や故障のため保有車両を使用できないとき、予備として使用する車両です。
    遊休車や予備車が事故車と同目的で使用する車両ならば代替できるため休車損害は否定される可能性があります。
    過去の裁判例でも、そもそもタクシー会社は代替車両が存在するのが通常であるから、主張立証がなされず、ただ休車損害を請求しても認められないと一切補償を認めなかった事例があります(東京地判平成10年11月25日)。
    もっとも、事故車が冷凍冷蔵車で予備車に冷凍冷蔵設備のない貨物車といった場合には、予備車があるからといって、事故車の適切な代替車とは評価できないため、休車損害が認められる可能性があります。
  3. 他保有車両の運行スケジュールを調整しても事故車の業務の穴埋めをできなかったこと
    事故車以外の保有車両の運行スケジュールをやりくりし、事故車の業務を穴埋めできた場合、利益は減少しないので休車損害は発生しません。
    過去の裁判例でも交通事故によりタクシーが損壊した事案で、1台の事故車が休車中であっても他のタクシーに配車することで売上を80%ほどはカバーできるとして、20%のみ休車損害を認定したという事例があります(高松高判平成9年4月22日)。

 

休車損害の算定方法

交通事故による休車損害の計算方法ですが、保険業務で多く採用されている算定方法は、以下の計算方法です。

(事故前の1日当たり売上 - 経費)× 休車日数

 

事故前の1日当たり売上 事故前の1日当たり売上

この点について、通常は、休業損害の事案と同じく、【事故直近3か月前の売り上げ合計 ÷ 90日 = 事故前の1日当たり売上】で計算しています。

経費 経費

経費は、事故車を使用できなくなって支払いを免れた経費のことです。

例えば、燃料費、道路使用料、修理代、フェリー使用料などを対象とします。

なお、人件費については、以下のような考慮をする場合があります。

人件費について
  • 事故車休車とともに事故車運転手も仕事を休んだ場合は、経費として計上
  • 事故車が休車しても、ドライバーがほかの業務に従事していたときは、経費としない

具体的には、トラクターの専属ドライバーが事故車両の修理中に他の車両に助手として乗っていたために給料が発生していた事案で、休車中もこの人件費は支払いを免れることができないものであるとして、売上から控除しなかった裁判例があります(札幌地判平成11年8月23日)。

休車日数 休車日数

事故車が修理された場合は、修理工場への入庫から出庫までの間とされることが多いです。

事故による破損が全損となり買い替えとなった場合は、買い替えに必要な相当期間となります。

ただ、この相当期間については車両によって異なるためしばしば裁判で争われています。

上記については、その根拠となる客観的な資料を求められています。

特に、その車両の1台あたりの売上という点については、タクシーであれば比較的資料は揃っているケースが多いと思いますが、工事車両の場合には、なかなか1台ごとの売上を計上していないケースもあるかと思いますので、どのように証拠を用意するかを検討しなければなりません。

 

休車損害についての問題点

交通事故の問題は、被害者の生活に深く関わる問題です。休車損害についても、会社や自営業の方であればご自身の売上に直結する損害になります。

こうした休車損害については、修理費+α の賠償になるため、保険会社としては積極的に認めようとはしません。むしろ、基本的には否定する方向で交渉をしてきます。

そのため、請求を認めてもらうためには、上記の要件を証明しなければなりませんが、このときに専門家である弁護士のサポートを受けておけば、適切に補償される可能性がご自身で保険会社と示談交渉する場合に比べて高くなります。

交通事故に関して、お困りのことがあれば、弁護士にご相談ください。

 

 


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