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大腿骨転子部骨折の後遺障害は?【弁護士が解説】


掲載日:2016年8月12日|最終更新日:2019年4月26日

股関節の機能障害が残った場合は8級7号、10級11号、12級7号、下肢が短縮した場合は8級5号、10級8号、13級8号、痛みが残った場合は12級13号、14級9号に該当する可能性があります。

 

大腿骨転子部(だいたいこつてんしぶ)とはどこのことですか?

下肢の骨のイメージイラスト大腿骨とは太ももの骨です。
太ももの骨が骨盤とくっついている部分は、骨頭といいます。
骨頭のすぐ下が頸部と呼ばれる部位で、さらにその下が、転子部です。

イメージとしては、太ももの付け根付近の骨という感じです。

転子部の中でも、足の小指側を大転子、足の親指側を小転子と呼びます。

 

 

大腿骨転子部骨折とはどのような怪我ですか?

大腿骨転子部骨折は、大腿骨の大転子から小転子の間の骨折することです。

転子間骨折、転子貫通骨折とも呼ばれています。

股関節の外での骨折で、血流もよく大腿骨頸部骨折と比べる、骨癒合がしやすい骨折です。

しかし、受傷者は高齢者が多いこと、大腿骨頸部骨折より強い力を受けることから、全身的な合併症が多く、治療が難しい骨折と言われています。

骨折の原因としては、高齢者の場合、屋内での転倒など比較的軽いエネルギーで発生することがあり、また、交通事故で下半身に強い衝撃を受けた場合にも発生します。

 

大腿骨転子部骨折の症状はどのような症状ですか?

入院のイメージイラスト股関節の前面から外側にかけての痛みの訴えがあります。

起立ができなくなり、歩行もできません。

太もも付け根からおしりにかけて腫れと皮下出血があります。

骨折による骨のズレが大きいと、下肢の短縮がおこります。

ただ、血流がよい場所のため偽関節や壊死などの合併症は少なくなります。

 

5. 大腿骨転子部骨折の後遺障害を教えてください。

(1)機能障害

股関節転子部を骨折すると股関節が動かしづらくなることがあります。

関節が動かしづらくなることを機能障害といいます。

動かしづらくなった場合に、全て後遺障害に該当するわけではありません。

以下で説明するように一定以上の可動域制限(動かしづらさ)が残っていなければ後遺障害には該当しません。
また、運動障害が認定されるには、その運動障害が残る原因がレントゲンやMRI等で認められる必要があります。例えば、骨癒合(骨のくっつき方)等に異常が認められるような場合です。

後遺障害等級
  • 8級7号「1下肢の3大関節の中の1関節の用を廃したもの」
    「下肢の3大関節」とは、股関節、膝関節、足関節(足首の関節)のことをいいます。
    「用を廃した」とは、簡単に言うと、全く股関節が動かない状態、あるいは、動いたとしても、ケガをしていない方の足と比べて10%以下しか動かないような場合をいいます。
  • 10級11号「1下肢の3大関節の中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」
    「機能に著しい障害を残すもの」とは、股関節の可動域(動く範囲)が、ケガをしていない側の股関節と比べ1/2以下に制限されている場合のことです。
  • 12級7号「1下肢の3大関節の中の1関節の機能に障害を残すもの」
    「関節の機能に障害を残すもの」とは、股関節の可動域(動く範囲)が、ケガをしていない側の股関節と比べ3/4以下に制限されているような場合です。

このように、可動域制限(動かしづらさ)の程度に応じて、後遺障害が認定されることになります。

ポイント後遺障害申請の際に必ず提出しなければならない後遺障害診断書には、関節の可動域を記載する欄が設けられています。

この記載欄に、股関節の可動域の記載があれば、後遺障害の審査の対象となりますが、記載がなければ、そもそも審査の対象となりません。

したがって、後遺障害申請をするにあたっては、後遺障害診断書の内容を十分に確認しておくことが重要です。

(2)短縮障害

大腿骨転子部を骨折することで、足の長さが短くなる(下肢の短縮)ことがあります。
足については、数cm長さが短縮しただけでも歩行に影響を与えることがあるので、下肢の短縮について後遺障害等級が設けられているのです。

下肢の短縮の後遺障害は以下のとおりです。

短縮の後遺障害
  • 8級5号「1下肢を5センチメートル以上短縮したもの」
  • 10級8号「1下肢を3センチメートル以上短縮したもの」
  • 13級8号「1下肢を1センチメートル以上短縮したもの」

上前腸骨棘(腰付近の骨)から下腿内果下端の間の長さを測定し、健側(ケガをしていない方の足)と比較して後遺障害認定がなされます。

(3)神経症状の後遺障害

大腿骨転子部を骨折したとしても、機能障害や短縮障害が残らず、痛みだけが残るという
こともあります。

こうした場合には、神経症状の後遺障害(痛みやしびれの後遺障害)に認定される可能性
があります。

認定される可能性があるのは、以下の2つの等級です。

神経症状の後遺障害
  • 12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」
  • 14級9号「局部に神経症状を残すもの」

2つの等級の違いは「頑固な」という文言の有無です。

「頑固な」神経症状といえるためには、痛みやしびれがあることについて、医学的に証明できなければなりません。

MRIイメージイラストつまり、レントゲンやMRIなどで、骨や筋肉などに異常があることが認められる場合に、「頑固な神経症状」として12級13号が認定されるのです。

レントゲンやMRIで異常が認められないけれども、痛みが残っている場合には、14級9号に認定されるか問題となります。

もちろん、痛みが残っていれば全て14級9号に認定されるということはありません。

14級9号の場合は、痛みが残っていることが医学的に説明できなければなりません。

事故の態様や規模、治療経過などからして痛みが残っていることについて、医学的に説明できるような場合に、14級9号が認定されるのです。

 

大腿骨転子部骨折の後遺障害慰謝料

大腿骨転子部子骨折の後遺障害慰謝料(裁判基準)は、下表のとおりです。

後遺障害等級 後遺障害慰謝料額
8級 830万円
10級 550万円
12級 290万円
13級 180万円
14級 110万円

 

等級が同じであれば、後遺傷害慰謝料(裁判基準)は全て同じです。
例えば、8級7号と8級5号は、同じ8級なので、830万円となります。

 

 

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