よくある相談Q&A

歩行者同士の衝突事故での過失割合はどのようになりますか?



横断歩道のイメージ画像歩行者双方に過失割合は認められます。

最近では、「歩きスマホ」による歩行者同士の衝突により、ケガをされる受傷事故が増えているようです。
しかし、自動車同士の交通事故のように基本過失割合が類型化されていません。
そこで、歩行者同士の衝突事故の過失割合について触れた裁判例を紹介します。

 

事故の概要は、91歳の女性歩行者と25歳の女性歩行者が交差点内で歩行中に衝突し、
老人が転倒して右大腿骨頸部骨折を受傷し歩行障害が残ったと主張した事案です。

 

東京地判平成18年6月15日判決

第一審の判決では「道路を歩行する者は、自己の身体的能力に応じて、他の歩行者の動静を確認したうえで、歩行の進路を選択し、速度を調整するなどして他の歩行者との接触、衝突を回避すべき注意義務」と、
「歩行者の中には、幼児、高齢者、視覚等の障害者など一般の成人に比べて知覚、筋肉、骨格等の身体的能力が劣るため、歩行の速度が遅く、体のバランスを崩しやすく、あるいは、臨機応変に進路を変えることが不得手であり、ひとたび衝突、転倒すると重い傷害を負いやすいといった特質を備えるものが一定割合存在していることに鑑みると、健康な成人歩行者が道路を歩行するにあたっては、自己の進路上にそのような歩行弱者が存在しないかどうかも注意を払い、もし存在する場合には進路を譲ったり減速、停止したりして、それらの者が万一ふらついたとしても接触、衝突しない程度の関係を保つなどしてそれらの者との接触、衝突を回避すべき注意義務」があるとしました。

25歳女性は、友人と漫然と歩きながら交差点を歩き高齢の女性を見逃したことと
91歳の女性も25歳女性を見つけていないことから、
91歳の女性の過失を3割、25歳女性の過失を7割認めました。

 

控訴審東京高判平成18年10月18日

ところが控訴審では、25歳女性は友人と並んで人の流れに従ってゆっくりと歩いて交差点の中央付近で、目指す店舗を探そうと歩みをとめかけた瞬間、25歳女性の背中から腰にかけて91歳の女性が接触していると認定し、25歳女性に注意義務違反はなかったとしました。
このように、高裁判決では、25歳女性の注意義務違反は認められませんでした。
もっとも、例えば、ご紹介した事件でも、女性が「歩きスマホ」をしていたといった事情がある場合には、裁判所は注意義務違反を認めていた可能性は高いと考えられます。

 

 

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