家事従事者の後遺障害による逸失利益はどのように算定方法するのですか?
= 後遺症による逸失利益
により算定します。
後遺障害による逸失利益とは
交通事故による後遺障害によって、得ることができた利益を得られなかった場合、その得られなかった利益を後遺障害による逸失利益といいます。
算定にあたっては、労働能力の低下の程度、収入の変化、将来の昇進・転職・失業等の不利益の可能性、日常生活上の不便等を考慮して行います。
家事従事者の基礎収入
(1)家事従事者とは
性別・年齢を問わず、家庭のために主婦的労務に従事する人のことです。
(2)基礎収入
家事労働は金銭的に評価できます。よって損害の算定をすることができます。
基礎収入は、女性労働者の平均賃金(賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計の全年齢平均賃金または年齢別平均賃金)を使います。
ただし男性の家事従事者であっても「女性」労働者の平均賃金となります。
(3)家事をしながらパートをしている場合
・パートでの収入が平均賃金を超える場合は、実収入額により算定します。
・パートでの収入が平均賃金を下回る場合は、平均賃金により算定します。
ただし、パート等の収入と家事労働に対応する賃金センサス平均賃金を合算しません。
労働能力喪失率
労働能力喪失率ですが、後遺障害で認定される等級により異なります。
基本的には、国が定めた下記の労働能力喪失率表に基づいて算定されます。
労働能力喪失率表
第1級 | 第2級 | 第3級 | 第4級 | 第5級 | 第6級 | 第7級 |
---|---|---|---|---|---|---|
100% | 100% | 100% | 92% | 79% | 67% | 56% |
第8級 | 第9級 | 第10級 | 第11級 | 第12級 | 第13級 | 第14級 |
45% | 35% | 27% | 20% | 14% | 9% | 5% |
労働能力喪失期間
(1)始期:症状固定日の年齢
(2)終期:原則として就労可能年数 67歳まで
障害の内容、部位、年齢、職業、地位、健康状態などによって異なる期間で算定されることがあります。
ただしむち打ち損傷による後遺障害の場合は
・12級の場合:労働能力喪失期間を5年から10年
・14級の場合:労働能力喪失期間は5年以下
労働能力喪失期間は短くなります。
ライプニッツ係数
ライプニッツ係数を乗じるのは、中間利息を控除するためです。
専業主婦の逸失利益の計算例
42歳の専業主婦が交通事故で後遺障害が残り、第9級10号に認定された場合の計算例
・基礎収入:女子全年齢平均賃金364万1200円
・9級の労働能力喪失率:35%
・就業可能年数:67歳-42歳=25年
・25年に対応するライプニッツ係数(年金原価)14.094
以上より
364万1200円×0.35×14.094≒1796万円が逸失利益になります。
なお、後遺障害等級9級の自賠責保険金の上限は616万円です。
1796万円―616万円の残りは、加害者の任意保険などから支払われることになります。
このように、基礎収入や労働能力喪失率、労働能力喪失期間の算定には複雑な問題が多く含まれています。専門家である弁護士に相談することをお勧めします。
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